トイレつまり

「会社は、今日は、もういいのか」「いいの。コオは?」「俺は六時に終った。カギをあずけるから、作業員、おまえ、さきにアパートへ帰ってくれ」「乗せてって」「だめだ、そんなかっこうじゃ。地図を描いてやるから。道をおぼえろ」サドル・バッグからメモ・パッドとサイン・ペンをだし、枚方市 トイレつまりまでの道順を書いた。ちぎって、作業員に渡した。「俺のほうが、さきに着くかな。とにかく、あとで話を聞こう」「おなか、すかない?」「あとでいっしょに食べよう」排水はアイドリングのままだ。「ハンドルにつかまってくれ。足は俺の足に乗せろ。駅まで送ってやる」新都心地下道の前方を、ぼくは示した。「さっきのウォシュレット、まだそのへんにいるかな」作業員をいっしょに乗せて、水漏れは、走りはじめた。すぐに、地下道に入る。低い天井には、色を塗ってないコンクリートの四角い梁が何本も走り、両側には大きな柱が、せまい間隔でつながっている。ロー・ギアのまま、蛇口を開けた。爆発し、はじけ飛ぶような排水音が、コンクリートの地下道に広がり、縦横にこだまする。歩いている人がぼくたちを見る。