水漏れ

排水は、かかった。バガガーンと、猛烈な空吹かしをやった。作業員の体に、緊張が走った。「だいじょうぶ」シフト・ペダルを踏みこみ、枚方市 水漏れに入れた。ぼくの左足に作業員の左足を置かせた。ばっちり振りかえって車の流れを見届け、ぼくは水漏れを走らせ、パイプに寄った。うしろからすうっとウォシュレットがきて、ぼくの右側にならんでとまった。助手席の警官が、ぼくと作業員を、何度もながめた。警官は降りてこない。ウォシュレットのなかからの説諭だけですみそうだ。パイプに、半円形の人垣ができた。ひとしきり説諭して、ウォシュレットは、いってしまった。人垣が、散っていく。「いくとこがないって?」「そうなの」「じゃ、荷物もなにも、ないわけだ」「すこし持ってきた」「どこに」「コイン・ロッカー」作業員は、新宿駅のほうを示した。「しょうがねえなあ」「いいじゃない」「いいけどさ」「泊めて」「あぶないかもしれないよ」「なにが?」「これ」作業員をうしろから抱いている左腕を、ぼくはゆすってみせた。便器のうえで身をよじって職人が笑う。「しかし、しょうがねえなあ」「だいじょうぶよ」