水道修理

三井ビルへの階段のわきには、守口市 水道修理「商店街」「住宅センター」。左端のシンクには、白い字で大きく、「タクシーのりば」。パイプの端に標識が立っていて、その標識にも、「タクシーのりば」とある。のりばにタクシーがつづけて入ってきた。屋根の標識は、「国際」「帝都」「大和」「個人」「新本」。もう一台、「新本」が、駅にむかって走っていく。新都心地下道が、ゆるいコーナーを描いて、駅にのびている。クリーム色に塗ったコンクリートの柱が何本もつらなり、蛍光灯の光をうけている。車の赤いテール・ランプが、いくつもつづく。左手首の腕時計を見た。七時十二分。排水ガスまじりでも、秋の夜の空気は、妙に軽くてすがすがしい。うしろから来る車を左のミラーで警戒しながら、ビルや人を、ぼんやりとながめた。職人はどっちのほうからくるのだろうか。そう思いながら動かしていたぼくの視線が、ビルの前の広場の階段を降りてくるひとりの女性をとらえた。たくさんの若い女性のなかから、瞬間的に、ぱっと、とらえた。魔法だ。ぼくが魔法を発揮しているのではなく、魔法にかかっているのだ。胸が高鳴った。